屈折矯正手術(ICL)

屈折矯正手術(ICL)

ICLとは

ICLとは、小さなレンズを目の中に入れて近視や乱視を治療する新しい視力矯正手術です。一般に、目の中の水晶体を温存したままレンズを挿入する治療方法は、「有水晶体眼内レンズ挿入術」、あるいは「フェイキックIOL」などと呼びますが、ICLもこのフェイキックIOLの一種。レンズを目の中の黒目(虹彩)の裏側、虹彩と水晶体との間の「後房」と呼ぶ位置に固定するので、「有水晶体後房レンズ」という呼び方もあります。
レンズがソフトコンタクトレンズのような柔らかい素材でできていること、いったん目の中にいれたレンズはメンテナンスをする必要がなく長く透明な状態を維持することなどから、「永久コンタクトレンズ」などと呼ぶ人もいます。

視力矯正の技術は日進月歩です。プラスチック成型技術が進歩した今では、スタイリッシュなメガネを安く簡単に入手できるし、使い捨てのコンタクトレンズも安価です。
でも、果たしてあなたは単に「見える」だけで満足できるでしょうか?あるいは、コンタクトレンズを毎日洗浄するために貴重な時間を費やすこと、度が進む度にメガネを新調することに不満はないでしょうか?
ICLは、視力矯正の精度が高く、見え方は市販の眼鏡やコンタクトレンズ、あるいは他の視力矯正法とは格段に違います。また、たった一度の日帰り手術だけで、毎日の洗浄やメンテナンス、定期的なレンズ交換などは必要なく、よく見える状態を長期間にわたって維持できます。
ICLの手術を受けた方からは「世界が変わった」というお話しをよく頂きます。今自分が見ている世界を変えてみたいと思いませんか?

フェイキックIOLの種類

フェイキックIOLは、使用するレンズの種類により主に3種類──(1)隅角支持型、(2)前房型、(3)後房型──があり、これらは目の中でレンズをセットする位置がそれぞれ異なっています。
ICLは、(3)の後房型。黒目(虹彩)の裏側、虹彩と水晶体の間の後房と呼ぶ位置にレンズを置き、毛様溝にレンズの両端を入れて固定します。
このほかに国内でよく見かけるのはArtisan/ArtiflexというフェイキックIOLです。Artisan/Artiflexは、(2)の前房型に当たります。

フェイキックIOLの種類と製品例 虹彩の裏側、虹彩と水晶体の間にレンズを配置するのが後房型フェイキックIOL(左上)。前房型フェイキックIOL(右上)では虹彩表面にレンズを固定します。

  • ICLは複数のモデルがあり、使用可能な度数範囲は、モデルにより異なります。詳細は担当医師にお尋ねください。

ICLはレーシックとここが違う

フェイキックIOLは、使用するレンズの種類により主に3種類──(1)隅角支持型、(2)前房型、(3)後房型──があり、これらは目の中でレンズをセットする位置がそれぞれ異なっています。
ICLは、(3)の後房型。黒目(虹彩)の裏側、虹彩と水晶体の間の後房と呼ぶ位置にレンズを置き、毛様溝にレンズの両端を入れて固定します。
このほかに国内でよく見かけるのはArtisan/ArtiflexというフェイキックIOLです。Artisan/Artiflexは、(2)の前房型に当たります。

角膜を削らない手術

レーシックは、もともと矯正できる近視の度数に上限があり、また度数が強い人ほど多く角膜を削ることになるため、見え方のクオリティが低くなりやすいという欠点があります。ICLはレンズの度数レンジが広く、レンズの矯正精度も高いため、近視の強い人でもクオリティの高い見え方が期待できます。また万が一の時はレンズを抜去し、もとの状態に戻すことも可能です。

ワンランク上の鮮やかな見え方、高い術後満足度

ICLはレンズの精度が高く、これがハードコンタクトレンズと比べても遜色のない鮮やかな見え方につながっているといわれています。ICLを受けた方の98%は裸眼視力が1.0以上に回復し、ほぼ100%の患者さんが満足しているという調査結果もあります。

視力矯正後の見え方 左はICL、右はレーシック。いずれもシミュレーション画像。

長期的に安定した視力

レーシックを受けた方の場合、一般に「近視の戻り」といって、術後数年間で視力が少し近視ぎみに戻ってしまう傾向のあることが学会で報告されています。またこの「近視の戻り」の傾向は、特に強度近視の方ほど顕著にみられるようです。ICLの手術を受けられた方の場合は、著しい「近視の戻り」は現在までのところは報告されておりません。学会で発表されるICLの術後経過報告は、術後の裸眼視力が1.0以上に回復し、長期的に安定しているケースがほとんどです。

ドライアイ、視覚障害の出現がほぼない

角膜を削るレーシックでは、フラップを作成する時に角膜の知覚神経が切断されるので、一時的にドライアイが生じやすくなります。また、術後に生じる角膜表面の歪みによりハロー(暗闇で光がにじんで見える視覚障害)やグレア(暗闇で光がまぶしく見える視覚障害)といった視覚障害を起こす場合があります。あるいは、角膜のレンズとしての集光能力が著しく低下することで、暗所で色や濃淡が見づらくなったりすることもあります。ICLでは、こうした視覚障害の出現はほぼありません。

術後でも術前の状態に戻せる

ICLのレンズは、特別な理由がない限り交換する必要はなくそのままずっと目の中に入れておくことが可能です。万が一、術後に問題が生じた場合には、レンズを取り出して元の状態に戻すことができます。これはレーシックとは大きく異なる特徴です。

強度の近視や乱視でも矯正可能

角膜を削るレーシックでは、矯正できる度数に上限があります。ICLは幅広い度数のレンズを用意しており、最強度の近視でも矯正することが可能です。

当院がICLをオススメする理由

日本の厚労省が認めた唯一のフェイキックIOL

ICLは、日本で薬事承認を取得している世界で唯一のフェイキックIOLです。2010年2月に近視用のレンズが、2011年11月には乱視用のレンズが薬事承認を取得しています。世界では、1997年に欧州でCEマークを取得後、カナダ(2001年)、韓国(2002年)、アメリカ(2005年)、中国(2006)年など、70以上の国々で薬事承認・認可されています。

圧倒的な国内外での使用実績

ICLは1997年にヨーロッパでCEマークを取得。他社に比べるとフェイキックIOLとしては後発ですが、それでも約20年の歴史があります。またここ数年は使用実績が急速に伸びており、圧倒的な使用実績があります。2012年末までの累計使用実績は、37万5000以上。すでに70カ国で薬事承認を取得しており、累計使用実績で見た世界シェアは74%と他を圧倒する数となっています。

日帰り手術が可能

ICL手術の所要時間は、慣れた医師であれば、両眼合わせて30~40分程度。レンズはとても柔らかい素材でできており、細長く折りたたんだ状態で眼内に挿入します。レンズ挿入のための切開創は3mmと小さく、点眼だけで自然治癒するので縫合の必要さえありません。両眼を同日に手術でき、視力は1日~1週間ほどで回復します。術後の早い段階で視力の変化を実感できます。

長期的な安定性と安全性

ICLのレンズ素材は、HEMA(水酸化エチルメタクリレート)とコラーゲンを共重合させたCollamerと呼ぶ新素材。生体適合性が高く、目の中にいれても異物として認識されにくい大変優れた素材です。特別なメンテナンスをする必要はなく、目の中で長期間にわたって透明な状態を維持し、長くレンズとしての機能を果たします。

タンパク質沈着テストを行ったレンズ素材表面の電子顕微鏡写真(1000倍)
左がCollamer素材、右がアクリル素材。

計算によって算出される理論上の目標視力に対して、術後に達成できた裸眼視力との差異が小さいことを一般に「予測性が高い」といいます。ICLは、この予測性がきわめて高く、多くの場合に良好な視力が得られることも一つの特徴です。用意されているレンズの矯正度数範囲が広いため、たとえ術前の裸眼視力が0.1を下回る強度近視の方であっても、術後の裸眼視力は1.0~1.2になることが学会の報告でも多いようです。当院においても、ICLの手術を受けた方のほとんどが1.0以上の裸眼視力に回復されています。これまでのところ、術後の経過は大変良好なケースがほとんどです。

ハロー/グレアや、コントラスト感度の低下が起きにくい

角膜を削るレーシックでは、角膜の表面の歪みにより、暗闇で光を見たときにぼやけて見えるハローや、暗闇で光がまぶしく見えるグレアなどが起きる場合があります。また、角膜を削ることによってレンズとしての集光能力が低下する場合があり、これによりコントラスト感度が低下して暗所でものが見えづらくなることがあります。ICLでは、角膜表面の歪みに由来するハローやグレアといったの視覚障害が発生することは非常にまれです。また角膜を温存するICLでは、コントラスト感度は優位に上がるケースがほとんど。暗所ではむしろ以前よりはっきりと見えるようになります。

有害な紫外線をカット

紫外線のダメージが目の奥にたまると眼病のもとになるといわれています。ICLのレンズには、387ナノメートル以下の有害な紫外線を90%以上カットする紫外線吸収剤を含んでいます。紫外線をカットすることにより、紫外線によるダメージの軽減が期待できます。

合併症のリスク軽減が期待できる最新モデル「ホールICL」

2014年3月3日には、最新モデルの「ホールICL」が厚生労働省から薬事承認を受けました(販売名:「アイシーエル KS-AquaPORT®」、医療機器承認番号:22600BZX000850D0)。これは光学部の中央に直径0.36㎜の小さな穴をあけたレンズで、目の中の水の流れ(房水動態)を妨げない大変優れたモデルです。

従来モデルは、房水動態を良い状態で維持するために虹彩切開が必要でした。虹彩切開は術前または術中に行うため、特に患者様のご負担になる場合がありました。
虹彩切開をしないことの主な優位点は、(1) 手術の手間が減り時間を短縮できる、(2) 手術による目への負担を軽減でき術後早い段階での回復が期待できる、(3)術後の痛みの軽減が期待できる、(4)合併症である白内障のリスク軽減が期待できる、などが挙げられます。つまりホールICLは、手術の手間が減って所要時間が短くなる分、目への負担も小さくなり、これが早い回復につながり、しかも合併症のリスク軽減が期待できるという、患者様にとっても、医師にとっても大変大きなメリットを備えているといえます。
ホールICLは日本では2014年3月に厚生労働省が承認したばかりですが、その改善効果の高さが支持されており、日本でも急速に普及しつつあります。このため、当院では特別な事情がない限りホールICLをお勧め致しております。

Q:レンズの中央に穴があることで光学特性が悪くなるのでは?

A:光学特性は穴のない従来モデルと同一ではありませんが、ほぼ変わらないよう設計されています。解像度(MTF)の空間周波数特性(レンズの光学特性)はほぼ同じというシミュレーション結果もあります。空間周波数が100サイクル/mmの場合のMTF(グラフ中央丸印)は、ホールICLが0.51、従来のICLレンズが0.53.これは大きな違いではありません。

Q:レンズの穴が詰まることはないのですか?

A:0.36㎜径という穴の大きさは、目の中で浮遊する微細な固形粒子の長径の6~10倍です。とても小さな穴ですが、詰まることはまずありません。

手術のおおまかな手順

2014年3月3日には、最新モデルの「ホールICL」が厚生労働省から薬事承認を受けました(販売名:「アイシーエル KS-AquaPORT®」、医療機器承認番号:22600BZX000850D0)。これは光学部の中央に直径0.36㎜の小さな穴をあけたレンズで、目の中の水の流れ(房水動態)を妨げない大変優れたモデルです。

目薬タイプの麻酔を点眼して、レンズ挿入のために角膜を3㎜ほど切開をします。
※切開創は3㎜と小さいため、縫合の必要はありません。術後はしばらく抗菌点眼をする必要がありますが、創口はすぐに塞がり自然治癒します。

インジェクターという挿入器を使って、切開した部分から細長く筒状に折りたたんだレンズを挿入します。折りたたまれたレンズは、眼内でゆっくりと自然に広がります。広がったレンズの両端の部分を毛様溝へ入れてレンズを固定します。

同じ手順でもう片方の目にもレンズを挿入します。手術は両眼行う場合でも30~40分程度で完了します。
※術後は、麻酔が切れるまで30分~1時間ほどお休み頂き、術後2時間後検診で経過を確認後、ご帰宅となります。